中之条町 伊参/六合

群馬県吾妻郡中之条町 伊参/六合

PHOTO:©田村寛維

群馬県北西部に位置し、北は新潟県、西は長野県に隣接し、県内4番目の面積を誇る中之条町。「日本で最も美しい村」連合に加盟するのは、伊参(いさま)と六合(くに)、二つの地域。町内には、四万、沢渡、尻焼など9つの温泉が湧き出で、古来より、源頼朝、木曽義仲などの武将や多くの文人墨客が疲れを癒してきた。

関越自動車道を渋川伊香保ICで降りると、吾妻川沿いの道路を草津方面に向かう。車窓から見える吾妻川はゴツゴツと大きめの岩が目立ち、水量は少なく流れは穏やかだ。渋川市内からは約30分ほどで中之条町の中心部に着く。
まず立ち寄りたいのが、中之条町ふるさと交流センターtsumuji(つむじ)。観光協会、四万温泉の湯が楽しめる足湯、地産の食材を提供するカフェ、伝統工芸品や作家の一点物作品を手に取り購入することができるショップがある。地元民と観光客が行き交う文化と町の情報発信基地だ。
中之条町は群馬県内4番目の面積を誇るだけあり大きい。「日本で最も美しい村」連合に加盟するのは、伊参と六合、二つの地域。
「花と湯の町なかのじょう」というキャッチフレーズ通り、それぞれに泉質の異なる9つの温泉と、花の町づくりに力を入れている。季節の花が彩る中之条ガーデンズと中之条山の上庭園を結ぶ約20キロメートルの区間はボランティアによる花桃が植栽され、「日本一の花桃街道」を目指している。
伊参は、かつて養蚕が盛んで、江戸末期に建築された大型の茅葺き家屋「冨沢家住宅」が当時の養蚕農家の繁栄を伝えている。廃校になっていた中学校を改装した「伊参スタジオ」は、映画祭会場や映画などのロケ地となっている。「旧五反田学校」は、現代アートの祭典「中之条ビエンナーレ」の展示空間として、会期中は多くの人が訪れる場所となった。「里山と木造建築の景観」、「お茶講」が「日本で最も美しい村」連合の地域資源に認定されている。
一方、山間部に位置する六合は、もともと六つの村の大字を合わせてできたことからその名がついた。六合の雄大な自然に囲まれた野反湖の周囲には300種類以上の高山植物が咲く。野反湖は過去にスキー場や高圧鉄塔の計画、湖畔にホテル建設などの幾多の危機を乗り越えて、今の自然景観が残された。近年は害獣対策に苦慮しているが、貴重な高山植物や美しい湖の景観は、行政と地元住民をはじめ多くのボランティアによって維持されている。
高山植物の宝庫でありラムサール条約に登録された芳ヶ平湿地群、鮮やかなグリーンのビロード絨毯を敷き詰めたようなチャツボミゴケ公園など、ここにしかない変化に富んだ自然景観もある。また、川そのものが大きな露天風呂の尻焼温泉は、野趣あふれる秘湯の極みを味わえる。

2020年1月取材
執筆:髙橋秀子 撮影:田村寛維