赤井川村
赤松 宏

赤井川村長

赤井川村に生まれ、村長に就任して10年。人口対策、財政問題など小さな村が抱える課題は多いが、持ち前のおおらかさと「やるからには失敗はしない」というガッツで赤井川村の経営に全力で取り組む。

豪雪地帯を桜の名所へ。「目に見えるもの」を残したい

「赤井川村ってどこ?」「1回通っただけではわからない」。小さな村のため、人々の印象に残りにくいという課題があったので、村に入る4つのルーツ、小樽、余市、倶くっちゃん知安、仁木の入り口に大きな看板を建てました。「日本で最も美しい村」連合に加盟していることをアピールした看板のおかげで、道路からゴミがなくなるなど嬉しい効果もありました。私たち村民の意識も変わりました。それまでは、家の前に泥のついた農機具やゴミも平気で置いていたのが、家の前に見苦しいものは置かないようになったり。こうした意識の変化は、美しい村連合に加盟したからこそだと思っています。
「桜もみじ基金」というものを立ち上げて、春は桜を、秋にはもみじを植えて景観作りにも力を入れています。ここは最大で2mほど雪が降る豪雪地帯。雪が多い場所では気候条件的に桜の名所が少ないのですが、私はこの赤井川村にたくさんの桜を咲かせたいと考えています。私も自ら、3mほどの苗木を畑に400本ほど植えていますが、地域の人も協力してくれるようになりました。自分の庭に桜の木が1本、2本咲くと、やっぱり日本人ですから喜んでくれるんですよね。
村の人口は1200人ほどですが、一時、1100人まで落ち込みました。自治体として存続していくためにも、少なくとも人口1000人はキープしていかなくてはいけない。その対策の一つとして、村に10年以上居住する人には、300万円の建設資金を支援しています。建設後、3年間は固定資産税半額などの優遇措置もあります。小さな村ゆえ財政的にも厳しいのが本音ですが、そうした状況でも、持続可能な村作りに向けて知恵を絞っています。
村にあるキロロリゾートはご存知な方も多いでしょう。従業員の中には外国人スタッフも多く、外国人登録も昨年12月で100人強と、村の約1割を占めます。もうひとつ、村の活性化に貢献しているのが2012年に開通した冷水トンネルです。倶知安への道が開通したお陰で道の駅にも観光バスが止まり、年間で65万人が道の駅「あかいがわ」へ訪れ、多くの観光客で賑わうようになりました。
私は、やるからには絶対成功、失敗はしたくないんです。道の駅にしても、十分リサーチし、何をしたら失敗するか、逆算から組み立てて実行に移しました。道路を通過する車の台数も調べて、その数だったら道の駅にもこれくらいの集客が見込めるだろうと予想を立てました。夏休み返上で、道内にある道の駅100か所以上を訪ね歩いたのも思い出です。
全国的にも珍しいカルデラ盆地という地形が理由で、助成を受けたくても採択されないケースが多々あって、ずいぶんと悔しい思いもした。「この土地では何も出来ないんじゃないか」、今思えばその悔しさがバネになりました。これからは、村を支える若い人たちが自分たちに合ったやり方で、村のために最大限頑張って、自分の人生に一生懸命、ぶつかっていってほしい、そう思います。

2017年4月取材
執筆:高橋秀子 撮影:田村寛維