大蔵村
加藤正美

大蔵村長

専業農家から44歳で村会議員になり、村長に就任して10年。若い頃からリーダー気質を発揮し、大蔵村への愛情は人一倍強かった。「優しく、親切、丁寧」な対応をモットーとする加藤村長の原動力は、あふれんばかりの「愛」にある。

「いらっしゃいませ」役場=サービス業ですから

もともとは、いち専業農家でしたが、44歳で議員になり、3期務めた後、「村をもっと元気に活性化させたい」と村長に立候補しました。まず最初にやったことは、役場改革です。「役場=サービス業」ですから、来てくださったお客様に対して「いらっしゃいませ」の心で頭を下げる。そして、「ありがとうございました」の気持ちが伝わるような対応を職員の方にはお願いしました。何より、役場内をイキイキと、明るく、あたたかみがあるものにしたかった。庁舎内では、自分から積極的に挨拶をするように心がけ、「優しく、親切、丁寧」な対応を徹底した結果、外から来た人に「明るくて活気ある役場ですね」と言われた時は嬉しかったですね。
村会議員の頃は、役場から提出された案に対して、可決か否決しかできないことに葛藤を感じていました。村民の皆さんが叶えたい願いがあって、それを具現化するには、自分が首長になるしかない、と。議員と首長では、正反対だと思われるかもしれませんが、村民の安心で安全な暮らしを守り、生活環境を良くする、という点では一緒です。
村長になって始めたことの一つに、全村民の葬儀への参列があります。この世に生まれたことは、もちろん大事ですが、一人の村民として大蔵村を愛し、縁あってここに暮らしてくれた人がこの世とさよならする時は、せめて「お疲れ様でした」の気持ちで送り出したい、と思うからです。選挙では、反対派の「しこり」もありましたが、終わってしまえばノーサイド。村の一体化を目指すうえで、その姿勢を自ら示すために始めたことです。
大蔵村は人口3400人ほどの、山形県では一番小さな自治体ですが、「日本で最も美しい村」連合に加盟している自治体の中には、もっと小さなところもある。小さいからと言って卑下することはまったくなくて、小さいからこそ出来ることがあるのだと、自信と誇りを持って仕事に臨んでほしい、日ごろから職員のみなさんにはそう伝えています。
村の今後、10年間の総合計画では、重点施策のひとつに「日本で最も美しい村づくり」を挙げています。「美しい村づくり推進協議会」という組織があって、「美しい村」として磨きをかけるための活動をしていますが、その理念を、村民全員に周知徹底させたい。そのために考えたのが、毎年行われる美しい村の総会をこの村で行うことでした。子どもにも認知してもらえるよう、学校の授業で「美しい村の美しい学校」をテーマにお話してもらったり。また、村内のいたるところで、プランターで花を育てたり、創作花壇を作ってもらうなど、村民の皆さんとともに「美しい大蔵村作り」に励んでいます。
移住者を増やすための施策が盛んですが、移住してもらう前に、受け入れる側の考え方をレベルアップする必要があります。この村が好きでこの村が素敵、と言ってもらえるような村づくりをすること。そのためにも地域に自信と誇りを持つ子どもたち、若い層を育てていくことが大事だと感じています。

2017年7月取材
執筆:高橋秀子 撮影:田村寛維