高山村
長野県上高井郡高山村
長野県北東部に位置し、長野市から東に約20キロ、長野県小布施町や群馬県嬬恋村にも隣接する人口7000人ほどの美しい村。標高が高く、年間降水量が1000ミリと少ない、日照時間が長いなどの気象条件から、りんごやぶどうなど果樹を中心とした栽培が行われてきた。近年では、高山村産のワイン用ブドウから醸造されたワインを軸にした観光振興への機運も高まっている。
長野駅から長野電鉄に揺られること30分。須坂駅で下車し、そこからバスに乗り換え20分ほどで高山村役場に到着する。黒いレンガ風の外壁がシックな庁舎は、お隣の須坂市出身の建築家である宮本忠長建築設計事務所によるもの。給食センターなど村内のいくつかのシンプルモダンな建物の設計は同事務所が手がけている。
ここ高山村は標高400mから2000mまで高低差があり、昼夜の寒暖差が大きく、西に開けた日当たりのいい扇状地が広がる。高山村のこうした自然条件は、りんごやぶどうの生産に適しており、ワインの銘醸地であるフランスのシャンパーニュ地方やブルゴーニュ北部にも似た理想的な気候。ここ数年、ワイン用ブドウ栽培を始める新規就農者も増えており、かつての耕作放棄地がぶどう畑として蘇るなど、ワイン産地としての地域振興に力を注いでいる。昨年10月に完成した「信州たかやまワイナリー」は、村で作られたぶどうからワインを醸造、販売するだけでなく、醸造家の育成も視野に入れた中核的な存在。今後はヨーロッパをはじめ世界に通用する「高山ブランド」を目指す。
「日本で最も美しい村」連合に加盟したのは2010年。登録資源は、しだれ桜の古樹が広がる山里の原風景、上信越高原国立公園に指定され紅葉スポットとして人気の松川渓谷、スイスのような牧歌的な風景を醸し出す山田牧場を有する笠岳山麓の自然美、人と自然に優しい環境保全型の農業などがある。松川渓谷沿いには、泉質の異なる8つの温泉が点在し、信州高山温泉郷を形成している。中でも開湯200年を越える山田温泉は、古くから湯治の宿として親しまれ、森鴎外や与謝野晶子など多くの文人にも愛されてきた。
集落地帯で雪が40㎝以上、山間部では2mを超すこともあるため特別豪雪地帯に指定されており、冬の高山はウィンタースポーツの宝庫。国立公園内ならではの大自然のもと「ヤマボク」の愛称で親しまれている山田牧場は、良質なパウダースノーが楽しめるとあって、スキーやスノーボード客が全国から訪れる。
4月になれば、雪が溶けるのを待ちわびた大地や草木が、一斉に息を吹き返し、村は新たな生命エネルギーに包まれる。圧巻は村内に20本ほど点在するしだれ桜。映画「北の零年」の冒頭シーンを飾った「水中(みずなか)のしだれ桜」をはじめ、樹齢600年と推定される「坪井のしだれ桜」など、それぞれ個性豊かな姿をしたしだれ桜が、短くも、はかなき美しさを競い合うかのように咲き誇る。
2017年10月取材
執筆:髙橋秀子 撮影:田村寛維