赤井川村

北海道余市郡赤井川村

北海道の南西部に位置し、人口1200人ほどの「日本で最も美しい村」赤井川村。札幌からは小樽を経由してクルマで90分ほど。ここは、遠い昔、火山の噴火によって生まれた「カルデラの里」で、人々はこの巨大なカルデラ盆地の中に暮らす。村へは小樽、余市、仁木、倶知安の4方面から入ることができ、村への入り口では、「日本で最も美しい村」連合の大きな看板が出迎えてくれる。

四方を山々に囲まれ、すりばち状にくぼんだ地形が特徴的な赤井川村。盆地特有の気候のため、冬は最大で2メートルもの雪が積もる。世界でも有数の雪質の良さで知られ、国内はもとより海外からもこのパウダースノーを求めて訪れる人が後を絶たない。「スキーヤーにとっての聖地」でもある。この雪を活かしたのが「キロロ・リゾート」で、施設内では多くの外国人スタッフが働き、小さな村でありながら、人口の1割を外国人が占める。
村の基幹産業は観光と農業。夏は昼夜の寒暖差が激しく、この気温の変化が美味しいお米や野菜、果物の栽培に適している。特に野菜の美味しさは格別。もともと、病害虫の少ない、恵まれた土地であることから、農薬や化学肥料など使わず有機栽培をしている生産者も少なくない。サツマイモのような甘さのじゃがいも。濃厚な味わいのかぼちゃ。柔らかく、甘みとうまみがぎゅっと詰まったアスパラガス。小さな村ゆえ大量生産ができず、地域内でしか流通しないケースもあるが、食べてみると、肥沃な大地で育った、野菜本来の力強い味わいと甘みが口いっぱいに広がる。「記憶に残る」野菜たちだ。
赤井川村が「日本で最も美しい村」連合に加盟したのは2005年。連合発足時の7つのスターティングメンバーのひとつだ。登録されている地域資源は、カルデラ盆地と村の郷土芸能でもあるカルデラ太鼓。開村80周年を機に、郷土芸能を作りたいという村民の願いから、1981年に発足したのが「カルデラ太鼓保存会」で、卒業式、成人式などのイベント時に演奏するのが習わしとなっている。
村への玄関口ともいえる景勝地が冷水峠で、ここから村の市街地を一望できる。その旧道にあるカルデラ展望所は隠れた雲海スポットで、春から秋にかけての早朝には、朝夕と昼の気温差が大きいことや、風がないことなど、気象条件がうまく重なれば、幻想的な雲海を眺めることができる。
赤井川村は北海道でも有数の豪雪地帯。長く厳しい冬の間、大地はその栄養分を雪の下に蓄え、植物たちは土の中で春を待ち焦がれる。5月を迎えるとようやく雪解けの季節。ふきのとうがひょっこり顔をのぞかせ、あらゆる生命が芽吹く春がやってくる。たくさんのイベントで活気づき、一年で一番楽しいお祭りシーズンとも言えるのが夏。赤井川村の短く熱い夏に向けて、すべての生き物がいきいきと躍動し始める。

2017年4月取材
執筆:髙橋秀子 撮影:田村寛維