高森町
草村大成

高森町長

44歳の若さで高森町の首長に。レコードの輸入や古着の買い付け、飲食店などを手がける会社経営者からの異色の転身。スピードと情報発信力、民間出身者ならではの豊富なアイデアを武器に、高森町の「経営」に情熱をそそぐ草村町長にお話しを伺った。

スピードと情報発信力で、「企業経営」から「町の経営」へ

木をふんだんに使った明るく開放的な雰囲気の高森町役場は、各課のカウンターも目線が低く設置され、訪れた来客者にとって、親しみやすい印象を受ける。高森町が「日本で最も美しい村」連合に加盟したのが2013年10月。草村町長が、加盟当時、観光まちづくりのための専門職員から、その存在を聞いたことがきっかけだった。「これだけの魅力ある町や村が加盟して、美しい村の精神のもと切磋琢磨している。こんな組織があるんだとまず、驚きました。そしてうちの町でも加 盟できるなら、と思ったのがきっかけです」
草村町長は大学卒業後、趣味のレコード輸入と古着の買い付け、飲食店などを経営してきた民間出身者だ。原宿や新宿をはじめ、全国45店舗に古着を卸すなど手広く事業を展開。古着ブームも後押しして、商売人としてのセンスを発揮していた。父親が県議会議員をしていたことから、自身もおのずと同じ道を目指していたが、周囲からも説得され、43歳で高森町の首長に立候補した。
「僕が首長になった当初、『明るい町』『教育の町づくり』を掲げ、まずは庁舎内を明るくすることから始めました。それまではカウンターは高いし、書類の壁が高く積まれている状態で。まずはその壁を取っ払いましょうと。そして町中の通学路の街路灯もLEDに変えました」
情報発信をモットーにする草村町長は、高森町のケーブルテレビ「TPC」(高森・ポイント・チャンネル)を使い、可能な限り町の情報を開示。行政、議会の議事録をはじめ、今回の取材の様子なども町職員が録画し、それをケーブルテレビに流している。「住民との情報共有は何より大事。スピード感も必要です。スピードがあれば、万一何か失敗してもやり直しがきく。まさに『スピードは最大の付加価値を生む』んです」
それまで真剣な口調だった町長の表情がぐっと柔らかくなったのが、「町の中で美しいと思うシーン」についてお訊きした時。「あくまで私の個人的な意見ですが」と前置きしながらも「月廻り公園から眺める景観が一番ですね。阿蘇は何と言っても神秘的。私自身、ここが好きで帰ってきた。その魅力はやはりこの阿蘇の雄大な景観でしょう」
昨年4月に熊本を襲った大地震。「あの時は、『日本で最も美しい村』連合の仲間である加盟町村から、たくさんのあたたかいご支援・ご協力をいただきました。地震発生から数日後、まだ余震が続く中でも、連合本部から『何が必要か』といち早く救援物資を届けてもらって。あの時は本当に嬉しかった。何よりお伝えしたいのは、あの時の感謝の気持ちです」
目下、震災で甚大な被害を受けた南阿蘇鉄道の全線復旧が課題。「震災直後からいち早く、全線復旧を打ち出してきました。阿蘇は、道路と鉄道がなくてはどこへも行けない、言ってみれば『離島』です。南阿蘇鉄道も今が一番苦しい時期ですが、全線復旧を目指して頑張っていきます」

2017年1月取材
執筆:高橋秀子 撮影:田村寛維