松崎町
齋藤文彦
松崎町長
松崎町が「日本で最も美しい村」連合に加盟したのが2013年。「花とロマンのふる里づくり」をキャッチコピーに、住民参加型の経済自立を目指した町づくりを行ってきた。齋藤文彦町長に、これまでの松埼、これからの松崎についてお話しを伺った。
海、山、豊かな自然を生かした松崎らしい町づくりを
ここは、片田舎の小さな港町だけれど、かつては養蚕が盛んで、その品質の高さで全国的に知られていた時代もあった。さらに松崎町は遠洋漁業が盛んでカツオを追いかけて、大海と広い世界を見ていた人がたくさんいた。そういう意味では自分の子どもの頃は、視野も広いし、考え方が斬新な大人が多かった。
松崎は桜葉の塩漬けで有名な町で、豊かな自然資源に恵まれているものの、町を引っ張っていってくれるような大きな企業がない。町の財産の一つは、町役場の職員をはじめ町の未来を真剣に考えていく若い人々じゃないかな。
松崎の基幹産業は観光と農林漁業だけれど、これからの町を考えるうえで「松崎ふるさと自然体験学校」という構想がある。これは松崎の持つ海や山など豊かな自然資源を活用して、町民が講師になり、外から来た観光客に様々なアクティビティを体験してもらう滞在型のプログラム。実際に松崎ではカヌーやシュノーケリングのガイドなどで生活している人もいる。大企業がなくても、松崎らしい町づくりは出来ると思っている。
石部の棚田にしたって、オーナー制度を100口募ったところ、ちゃんと集まった。それに民泊を組み合わせれば、地域資源を活用して地域に紙幣が落ちる仕組みが作れる。松崎らしいやり方で、町全体が元気になる仕組み。こういうのをやってくれる若い人が出てきたらいいよね。町に移り住んだ地域おこし協力隊にも日ごろから言っているんだ。「3年の任期が終わった後も、松崎で生き残れるよう、今からコネクションを作っておけ」って。さらに「町を利用しろ、役場の職員を利用しろ」ともね。
行き詰った時や気分転換には、海が一番。海に行って好きなカヌーをしたり、目の前に夕陽が沈んで黄金色に染まる海を眺めていたら、一気に気分が良くなる。海水と羊水は成分が似ていると言われるけれど、本当だと思う。自分にとって、松崎町の美しいシーンと言えば、やはり夕陽と一面の花畑かな。役場にも本当はカヌーで出庁したいくらいだけど、さすがに何か事故があったら大変だからね(笑)。
「人生の喜びベスト10」というのが自分の中にあって、子どもの頃、海に潜って岩かと思って採ったら大きなサザエでね。あの嬉しさは今も忘れられないよね。そういう、子どもの頃の嬉しかった記憶ってずっと胸の中に輝いているもの。
今後の松埼のあり方を考えると、「松崎らしさ」をいつも考えて後世に残してゆくことが大事だと思う。一人では難しくても全体でやれば出来ることもある。そして、究極は住民の一人ひとりが松崎の町で輝くこと。それが大切だと思うんだ。
2016年7月取材
執筆:高橋秀子 撮影:田村寛維